KOBEST が地域活性化を志したわけ(最終回)

(前回のあらすじ)
思い切って東京から飛び込んだ愛媛の村は、地元住民の元気がありません。
しかしご当地名産の無農薬のお茶は衝撃的においしい。
このお茶を地域活性化の起爆剤に使うしかない、そこから私の村おこしの取り組みが始まりました。


作っている当の本人たちは、このおいしいお茶を田舎のお茶だからおいしくないと思っているようでした。
もちろん謙遜もあったと思いますが、だとしてもとびきりのおいしさには気づいていない様子。
しかるべきところに持っていけば、きっと高く評価されるに違いないのに。

とはいえお茶はすでに急須で淹れるものではなく、ペットボトルで飲む時代になっていました。
そこで目をつけたのが、まもなくオープンする観光施設の土産商品として開発が進んでいた抹茶大福。
抹茶を練り込んだ餅でこしあんと生クリームを包むという和洋折衷の大福で、これがまたおいしいのです。
スイーツなら若い層にも響く! これをプロモーションするしかない! そう決意したのです。

8個1000円という予定価格に、村民がそんな高い値段で売れるはずがない、こんなの600円くらいだと。
数年後、東京でこの大福が評判になったとき、これは安すぎる、1500円でも買うといわれました。
まさにこの認識のギャップが「価値」になるわけです。

1999年4月、施設のオープンとともについに発売となりましたが、爆発的なヒットとはいきませんでした。
雑誌が取り上げ、テレビが取り上げ、ネットで売れ、全国的に話題となったのは2004年10月のこと。
無農薬のおいしさが伝わるのに、実に5年が必要だったのです。

そこからはもうてんやわんやの忙しさ。
作っても作っても間に合わず、販売制限をしたり、ネットでは抽選販売にしたり。
全国主要都市の百貨店からはオファーが絶えず、出張販売に出向いても在庫は毎日朝の行列だけでなくなる状況。
驚くことに、20年近く経った今でも状況は変わっていません。

もし地域活性化の会社でなく、スイーツショップだったらこのスマッシュヒットで一段落だったでしょう。
しかし私たちはスイーツを売るのがゴールではなく、地域に価値をつけ、村民に誇りを取り戻してもらうことがゴールです。
このため、各地での人気ぶりをチラシにして村内各戸に配って伝え続けました。
全国で大福が大変な反響だ、その理由は皆さんの作っているお茶のチカラだと。

そしてある日、村民から「大福に使う抹茶をうちの畑で作ってもいいよ」との声がかかります。
これです! この声をいただくためにがんばってきたのです。
もうお茶づくりなんてといっていた村民が、自分たちのお茶が全国で評価されていることを知って、再び前を向いたのです。
地域尾に価値が芽生えた瞬間です。

人間誰しも、自分がやってきたことを褒められたら嬉しいものです。
ましてそれがそんなに大したことないものと思っていたものならなおさら。
まさに村民たちにとって、自分たちが作ってきたお茶がそんなに高い評価を得ていることが驚きであり喜びだったわけです。
苦労してやってきたことが間違いではなかったのだと気づいたときの嬉しさは想像にあまりあります。

これからは地方の時代、と呼び声だけは勇ましいですが、では実際何するの? といったところではないでしょうか。
どんな地域にも必ず宝物があります。
原石を見逃さず発掘し、丁寧に磨き上げることで、どこにもない宝物にすることができるのです。

地域の価値を大切にしたい。
それが、KOBESTが地域活性化を志す理由です。

村を救った抹茶大福

(おわり)

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