キャリアについて雑感
管理者キャリアコンサルタントって何？
今年の5月、キャリアコンサルタントになりました。
――はい？ それで？
――いや、そもそもキャリアコンサルタントって何？
そんな反応が大方ではないでしょうか。
正直、キャリアコンサルタントってもっと認知度が高いと思っていました。
なにせ国家資格だし、国を挙げて今「働き方改革」だの「リスキリング」だの言って、まさに「キャリア」というワードにスポットが当たっている最中だから。
しかしそれは、どうやら僕がキャリア支援という場に長らく身を置いたゆえの贔屓目に過ぎなかったようです。
キャリアコンサルタントの資格を取ったと知人に伝えたら、皆口を揃えてよかったねと言ってくれたものの、キャリアコンサルタントが何をする人なのかは知らない人がほとんどというのが現実でした。
え？ 何する人だと思う？と逆に訊いてみて返ってきたのはこんなところ。
- 就職／転職斡旋業を始めるんだね
- 高校生に塾通いを勧める営業さんかぁ
- コンサルタントって、あることないこと勧めるいかがわしい職だよねぇ
どの反応もまったく当たっていないとは言い切れないところがまた切ないですが、これがキャリアコンサルタントのイメージだと言われるとちょっと心外でもあり、悲しくもあります。
これはもうキャリアコンサルタント自らが、自分たちは何する人で、こんなときに活用してほしいというのを声高に叫んでいかないと、まったく浸透していかないなぁと痛感したわけです。
その伸びしろを信じてがんばるしかない！ 今そんな気分です。
そもそも「キャリア」って？
そもそもキャリアと聞いて、何を思い浮かべますか？
エリート、学歴、出世、昇進といったイメージがふわっと浮かんだりしませんか？
国が国家公務員の幹部候補生のことをキャリアと呼ぶ習慣は今も続いているようで、国がそうなら民は推して知るべしです。
まだまだ誤解が多いのがこの「キャリア」という言葉です。
キャリアとはそんな一握りの特権階級だけが味わう栄光のことを指すのではありません。
語源は「轍（わだち）」のことで、馬車が通ったあとに残る車輪の跡のこと。
ここから転じて人生の轍、つまりは「経歴」のことを指す言葉として「キャリア」が使われるようになりました。
馬車の轍は過去にしか残りませんが、人生の轍は過去だけでなく現在、未来までも含んで大きな経歴を指します。
遊びから趣味まで、生き方すべて含んでキャリアと呼びますから、学歴などはほんの一部でしかありません。
ましてや出世や昇進といった一方向に向かったベクトルだけではなく、横に行ったり後ろに戻ったりといろいろな経路を辿るのがキャリア。
まさに「人生そのもの」を指す言葉といっていいのが「キャリア」なのです。
だから当然、キャリアは誰にでもあり、どんな瞬間にもあるものです。
こうすれば幸せになれる、といった戦後日本を支えたセオリーがなくなった今、自分のキャリアは自分でしっかり見つめなければなりません。
キャリアコンサルタントの役割
キャリアコンサルタントは、各人のそのキャリアを支援するプロフェッショナル。
皆が同じ道を歩むことが多かった昭和の時代と違い、個人が異なる価値観に従い、さまざまな働き方で人生を実現しようとする時代です。
これからの人生をどんなふうに組み立てていくかの個別の相談に乗ることをキャリアコンサルティングといい、その未来の舵取りの手伝いをする人のことをキャリアコンサルタントというのです。
学生にすれば「就活どう進めればいい？」というのが目下の人生の組み立てだし、10年目の社会人にしたら「思ってた人生とちょっと違うんだけど…」という思いでモヤモヤしているかもしれません。
思いは人それぞれであることはもちろん、同じ一個人であっても時と場合によって価値観や悩みは大きく変わるのがふつうです。
そんなあなたに寄り添い、胸のうちにありながらも見えなかった（あるいはあえて見ようとしてこなかった）「こうしたい」に焦点を当てるのがキャリアコンサルタントなのです。
最近、noteやTwitterを見ていると、自分のキャリアの組み立てにぶつかり、思い悩み、でもどうすればよいか分からないという投稿をたくさん見かけます。
そんな人に「キャリコンに相談してみるといいですよ」と声をかけると、「おぉ！ そうだ今こそキャリコンだ！」と前を向く人、「え？ キャリコンて何？」と胡散臭そうにする人、今のところ五分五分といったところでしょうか。
一人でも多くのモヤモヤを少しでも晴らしたい！と強く願うキャリアコンサルタントの一人として、まだまだその認知度、知名度が低い現状は大きな社会の課題だと感じています。
多くの人が自信を持って楽しく働き、暮らせる社会を目指して。
微力ながらがんばってまいりたいと思います。
（2023/7/12記）
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