これからは地方の時代、の本当の意味
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これからは地方の時代、とあちこちで叫ばれています。
地方分権や地域活性化など、以前から国のレベルでは「地方」というキーワードが連呼されていました。
加えて新型コロナウイルスの影響で、「出勤しない」という新しい働き方が広がったことも追い風に。
業種職種によっては、東京にいなくても仕事ができることが実証されたのです。
こうして地方移住という選択肢が大きくクローズアップされることになりました。
そういう状況を指して「地方の時代」というのでしょうか。
いいえ、私はそうは思いません。
上にあげた例はすべて都市部の人たちが生活圏を地方に拡張する話です。
リモートで仕事ができるなら、自然がいっぱいで時間に追われない地方に住むのがいいよね、と。
そう、住む場所を地方に変えただけで、仕事は東京を向いたままです。
もちろん過疎にあえぐ地方にとって、一人でも住民が増えること自体は歓迎でしょう。
自分たちだけではもう前に進めないほどに疲弊してしまった地方なら人口増はマストです。
でも、待望のその住民がずっと東京を向いていても歓迎できますか?
もしかすると地域の催しにも参加せず、住む場所だけ移した「仮面住民」かもしれません。
東京から得た収入を地方に落としてくれればいいですが、買い物はすべてネットかもしれません。
「地方の時代」というからには地方が主役でなくてはなりません。
しかし、これでは単なる場所として消費されてしまっているだけです。
地方はいつまで経っても都市部に従属し、リソースを提供するだけなのでしょうか。
もちろんそんなことはありません。
地方には脈々と――それこそ東京よりはるかに長く――人々が暮らしてきた歴史があります。
ただ経済発展が最優先だった戦後日本の価値観の中で、東京に人心が集中してきただけです。
東京を中心とするライフデザインの中で、地方の魅力に光が当たらなかっただけなのです。
ではそのしばらく眠っていたご当地の魅力を掘り起こしてみませんか?
昭和の時代と違って今なら誰でも広範に発信ができる時代です。
掘り起こした魅力を、届けたい人に戦略的に届けることができるのです。
東京中心の価値観をリセットしてもらえるだけの発信をすればいいのです。
地方からリモートで東京に接続して仕事をするのは昨今の新しいスタイルです。
でも移り住んだ地方で仕事を見つけ、住むだけでなく本当の意味でそこに暮らしてほしい。
もっといえば、働くことも含めてそこに暮らしたいがために移り住んでほしい。
地方はまだまだ人を養えるのです。
それが、KOBESTが考える「地方の時代」の本当の意味です。
(2022/9/16・KOBEST代表 平野俊己)